13日(月)曇り時々雨。9年前、私たちはアメリカのニューヨークをはじめ、各所を旅して帰国2週間目があのテロだった。このテロを口実にアメリカはイラク戦争を始め、「テロとの戦い」を口にすれば、何でもアメリカの言い分が通るような雰囲気になった。
イギリスも日本も何の検証や議論もなくアメリカの戦争に加担させられた。イギリスはブレアの選択について検証が始まっているが、日本はその動きさえない。その間にイラクやアフガニスタンで失われた命は9.11の犠牲者をはるかに上回り、今も続いている。
アメリカのフロリダの信者わずか50人の教会の牧師がイスラム教の聖典コーランを焼くと宣言したニュースが報道されると、反モスリムの動きが広がって、大統領や国務長官が繰り返し冷静さを保つよう呼びかける始末だ。背景にはアメリカの不況があるというが・・。
戦後嵐のように世界に拡大した赤狩りと称するマッカーシズムを思い出させる。日本ではレッドパージとして多くの犠牲者を出した。アメリカという国は確かに多くの魅力で我々を惹きつけるが、一方で多民族国家ゆえにちょっとした引き金でヒステリックを生む。
確かに我々の感覚で言うと、イスラム教は理解しがたい部分がかなりある。6世紀末にアラビア半島のメッカに起源を持つマホメット(イスラム教)はイスラム帝国の版図拡大により、中近東、アフリカ、東南アジアを中心に信者が広がり、今や6億人といわれる。
私はかなりの国々をめぐり歩いているが、一番友人ができないのがイスラム教徒である。酒を飲まない、豚肉を食べない等生活習慣の違いから接点が作りにくい。シンガポール日本人学校でも警備員や学校の用務員さんがマレー人でモスリムだったが、校内にお祈りの場所を要求して校長ともめたこともあり、パーテーでの同席もならず、難しかった。
でも個人的には結婚式に招かれたり、NZの語学学校のクラスメートなどは酒も飲み一緒に旅行をしたこともある。彼らは押し並べて穏やかな人々で、過激派を批判したりもしていた。モスリムに限らず、キリスト教徒も原理主義者たちが対立を煽る傾向がある。
宗教や民族間の違いは、最終的に平和的共存によってしか解決方法はないことははっきりしている。ならば、シンガポールに学ぶ工夫が必要だ。シンガポールにはモスリム問題を裁く独自の裁判所さえあった。首相は年頭の挨拶でさえ英、中、マレー、ヒンズーの言語を使い分けていた。各民族間の付き合いは商取引など最小限と見たが、深刻な対立は起きていない。
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