9日(土)雨。昨日の中国人民主活動家・劉暁波氏へのノーベル平和賞は中国にとって喜ぶべきことと受け止めるべきだ。先日の化学賞などには誰も異論を差し挟まないのに、平和賞ばかりは時々もめる。日本の佐藤栄作首相受賞の時も異論が出たのは当然だった。
平和賞は「国際平和、軍備縮減、平和交渉、慈善事業等の分野に貢献した人物又は団体」に授与されるという基準がある。マザー・テレサやシュバイツアーの受賞に反対する人はいない。中国政府は劉氏が中国のマンデラになることを恐れているとの見方もある。
今回は異論を唱えているのは中国政府だけだ。中国の法を犯して獄中にある犯罪者であるというのが理屈だが、誰も支持しないだろう。劉氏はあの89年の天安門事件で逮捕され、その後、08年の「08憲章」で一党独裁を批判して再逮捕、懲役11年で獄中にある。
ノーベル賞委員会はスウエーデンにあるが、平和賞だけはノルウエーにある。いずれにせよ政府からは独立した機関で中国がノルウエー政府に圧力をかけたり、抗議したりするのはお角違いで、自分の政府のあり方と混同した恥ずかしい行動と言わざるをえない。
1978年に文化大革命から復活した訒小平は改革開放政策を打ち出したが、同時にかって周恩来が提唱した4つの近代化を推進した。ところがその中に政治の近代化(一党独裁の改革)を入れなかったことが、真の意味での民主化が進まなかった原因だ。
だから、ベトナム侵略(79年)、天安門事件(89年)という誤りを犯した。一党独裁の弊害は旧ソ連や東欧、そして北朝鮮、中国、ベトナムで実験済みで、官僚の腐敗、賄賂の横行、思想、表現の自由などへの弾圧へと行きつくことは必然の帰結なのだ。
中国へは3回ほど旅をし、長期滞在も経験したが、表面ではここが社会主義国かと疑わせるように物は溢れ、ネオンがきらめき、人々は全く自由に振舞っているように見えた。しかし、あれは政府を批判しない限りの自由であって、劉氏の逮捕はその象徴なのだ。
GDPで日本を追い越して世界第二位の経済大国になろうとしている国が、政府批判者を投獄しているような体制では到底世界の信任は得られない。このブログを読んでくれている私の中国人の友人たちも私の意見に賛成してくれるものと確信している。
先日、小さな記事でベトナムが共産党の書記長を選挙で選ぼうとの動きがあると伝えた。ホーチミンの遺志をもう一度見直そうとの動きで歓迎する。一党独裁は中国建国の理念にも反すると確信する。私はベトナム、中国との友好を望む者として、民主化の進展を望む。
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