12日(火)曇り。公務員に関する国際比較のデータを見ていたら、日本の遅れた状況に唖然とし、改めて見直す気になった。労働者の労働条件や権利については国連にILO(国際労働機関)というのがあって、国際労働基準を設定することを重要な活動としている。
1919年国際連盟の姉妹機関として設立されたジュネーブに本部を置く専門機関で、権威ある機関である。世界のほとんどの国が加盟し、日本はその常任理事国である。にもかかわらず、200近くあるILO条約のうち、日本は四分の一しか批准していない問題児である。
ILO条約は加盟国の批准(国会の承認)により効力を生じ、批准国はその条約の規定を国内法にとりいれる義務を負う。日本の批准が少ないのは国内法改正に反対が多いということだ。一番わかりやすいのが国家公務員法、地方公務員法のストライキ禁止だ。
何回も勧告を受けている。直近では02年、ILO理事会が日本政府に対し「是正を求める」勧告である。「日本の法令・慣行がILO87号条約(結社の自由及び団結権保護条約)や98号条約(団結権及び団体交渉権条約)に違反するとし、政府方針の「再考」を求めている。
スト権や団体交渉権の制限は軍隊、警察、「国家の名において権限を行使する」公務員に限られると指摘し、他の公務員にこれらの権利を付与し、消防、監獄職員の団結権を認めるよう求めているのだ。戦後60年の間に日本人の感覚が麻痺してしまったのではないか。
私には多くの国民が公務員は政治的に中立で政治活動、ましてやストライキなどもってのほかと考えているようだ。マスコミもそれが当然かのように扱い、権利意識を眠らせる役割に加担している。考えて欲しい。公務員は最も政治に近い位置にいるのに。
全国約400万人余り及びその家族も含めれば1000万人以上が世界では当たり前の政治活動の自由が奪われているのだ。戦後アメリカ占領軍の命令によって生じたこの異常な状態はILO勧告通りになれば、人事院も不要になり、人件費の削減に直結する。
信じ難いが、1号(1日8時間労働)、47号(週40時間制)、132号(年次有給休暇)等18本ある労働時間・休暇関係の条約を1本も批准していない。そればかりか、小泉政権下で裁量労働の導入・拡大で労組との協定があれば年800時間の時間外労働も可能にした。
その他わかりやすいものだけに限っても、105号(強制労働の廃止)、111号(雇用及び職業における差別待遇)、182号(最悪の形態における児童労働の禁止)、155号(労働安全衛生)、175号(パートタイム労働)、183号(母性保護)も批准していないのだ。
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