15日(金)曇り時々晴れ。テニスにはまことにいい季節になった。今でも時々さまざまな世代の教え子がメールをくれる。職場や大学の様子がわかって有難いと同時に、将来を真剣に考えている若者を見ると、まだまだ日本も捨てたものではないと思う。
つい先日、現役の大学生M君からメールが入った。彼は将来英語の教師を目指し、課題意識をしっかり持って学生生活を送っている。タイの東北部に一カ月のフィールドワークに入り、「教育の地域との密着性、大人と子どもの関係の深さの影響による、生き生きとした子どもたちの様子を見てとても感動しました」この視点だけでも彼は教師に向いている。
「将来は先生のおっしゃる通り、教員になろうと考えています。教科は英語です。高校でとてもいい英語の先生と出会い、カナダでのホームステイを経て、決意しました。僕の考え、研究は詰め込み教育からの脱却と人間性を育てる教育への展開、血の通った先生と生徒の関係、地域との関わりの重要性など、日本の教育の転換方向を模索しています」
彼はたった一カ月でタイの教育が詰め込み教育であると喝破している。ベトナムもそうだった。何か日本が手本になっているようで嫌だった。今回ノーベル賞受賞の根岸さんが日本の受験競争を讃えているように報道されているが、75歳の先生の時代の受験競争と今のそれは全く違うと思うので、誤った方向に悪用されるのを危惧している。
卒業前に留学して経験を積みたいと考えているM君にはまったく共感するので、いろいろアドバイスをしている。彼はスウエーデンを第一候補にフィンランドも視野に入れているという。彼には語学だけではなく北欧の教育、福祉、労働環境も学んできてほしい。
最近は高校でも大学でも休学して留学し、当該国で得た単位をそのまま認める学校も増えてきたというがまだまだだ。欧米では単位を持ったまま大学間を転学できるのは当たり前で、教員免許や医師免許など世界中で通用させなければ意味がない。日本は閉鎖的だ。
中学時代の彼はいわゆる真面目人間で下手をすればいじめの対象にもなりそうな生徒だった。はっきりと自分の考えを持ち、音楽、社会、語学、体育など人一倍の能力を備えた彼には周囲は一目を置かざるを得なかった。クラスで遺憾なくリーダーシップを発揮した。
日本の学校の今抱えている最大の問題と言ってもいい。個性豊かな能力を引き出すどころか、競争を煽り、管理教育の強化によって個性を殺すことが平然と行われている。そのことの異常さに教師たちも不感症になっている恐れがある。
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