22日(金)快晴。テニス日和。大阪地検特捜部による証拠改ざん事件を隠蔽したとして最高検は犯人隠匿罪で前特捜部長大坪と副部長佐賀両氏を起訴、一方雇用主である法務省は両氏を懲戒処分にしたと発表した。当然来るべきところにたどりついた。世論も歓迎のようだ。
私は彼らの法曹資格を剥奪されないのは納得がいかない。懲戒処分というのは公務員としては最も重い処分で、退職金も出ないわけだし、有罪ともなれば選挙等への立候補も制限されるわけだから、これで決着というマスコミや一般世論の声もある。
しかし、それにも関わらず、両氏は「検察に未練はない」とか「最高検と徹底的に闘う」とうそぶいていられるのは、いずれ弁護士として法曹界に復帰できるし、生活には困らないという安心感からだろう。彼らが我々一般公務員と違う特権があるからだ。
昔、ロッキード事件の際、田中角栄前首相逮捕に至る過程の中で、時の首相三木武夫氏に検事総長の名を騙って、偽電話をかけた裁判官鬼頭史朗がいる。いわゆるニセ電話事件である。鬼頭は弾劾裁判にかけられ、弾劾され罷免と同時に法曹資格も剥奪された。
検察官には弾劾制度はないから、今の時点で資格をはく奪されることはない。ただ、裁判で禁固刑以上の罪が確定すれば、弁護士法により弁護士資格はなくなることになる。鬼頭は罷免と同時に弁護士資格も失ったが、85年には復帰した。(弁護士会が入会を拒否)
それでも鬼頭は何の不自由もないばかりか、京都産業大学教授に迎えられ、教壇に立った。彼のような極右的な思想故に拾う大学もあるということだ。ドイツではあり得ない。戦後の戦犯追及があいまいで、政財界、マスコミ、法曹界、教育界すべてに復帰したのだ。
この問題の推移を見ていると、結局良くて大阪特捜部の廃止、全国規模の人事異動、上部の責任追及、モラルの弛緩が問われ、組織の引き締めや管理強化で終わりそうだ。私が主張している検察庁法の改正、つまり検察による起訴の独占廃止まで行きそうもない。
日報の一面に良寛会選定の良寛の和歌の連載が今も続いている。今朝の詩は、月よみの/光を待ちて/帰りませ/山路は栗の/毬の落つれば である。良寛を訪ねた親友・定珍の帰途を気遣っているのだ。安部定珍は親友であると同時に国上地域のパトロンの一人だった。
国上地区だけで3人のパトロン(解良家、安部家、原田家=いずれも庄屋)がいた。私が国上中在任中この3家の末裔が生徒の中にいた。3人のみならずこの地区の子どもたちは書や和歌が得意な子が多かったのは、今思うと良寛を生んだ伝統の力と思えてくる。
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