23日(火)曇り。日本の企業が社会保障や税制面で応分の責任を果たしていないことは、欧米のそれと比較すると明白だ。我々は常に国際競争力を理由に止むを得ないのだと納得させられてきた。経済規模で世界第二位の日本にその言い訳をいつまで許すのか。
先ずは企業の人件費に占める事業主と被用者が支払う社会保険料の割合。日本政府はこの比較表は作成しないし、嫌がるのだとか。そういえば、今日夕刻の国会質問でたまたま共産党がこのグラフを示して追求していた。私が掲示するのはOECDの資料である。
日本の事業主の社会保険料負担割合はイギリスやアメリカよりは多いが、フランス30%、スウエーデン25%、イタリア24%、ドイツ16%に対し12%と少ない。個人負担は逆に多い方から3位になる。今日の国会審議でも消費税論議のまやかしが明らかにされた。
「日本の消費税5%は国際的にみれば低すぎる」「福祉先進国のスウエーデンの五分の一、欧州各国の四分の一」「だから消費税アップが必要だ」こうした議論に簡単に納得してしまうのが日本人である。財界は10%~18%に引き上げることを要求している。
日本の消費税は導入から15年、国税収入に占める7%から22%に。一方法人税は36%から22%に。所得税は37%から34%に下がっている。これではっきりしているように、大企業優遇の法人税減税、高所得者減税、加えて長引く不況の影響によるものだ。
単純に消費税だけを比較して、欧米に比べて低いから引き上げる論理はあまりにも乱暴に過ぎる。その国の税体系全体を見たうえで比較しなければならない。以前、詳しく報告したように例えばNZの消費税は日本の2・5倍ほどだが、NZにない税がたくさんある。
日本は消費税5%に過ぎないのに、国税収入に占める消費税収入の割合は欧米並みだ。日本21.6%、イギリス22.5%、イタリア27.5%スウエーデン22.1%といった具合である。理由は税体系の違いに加え、欧州各国の消費税は医療・教育から住宅取得、不動産、金融など幅広い非課税項目があること、食料品や医薬品など、生活必需品の軽減税率がる。
日本の法人税率が欧米に比較して安すぎるという議論もまやかしだ。日本の法人税は88年に42%だったものが、03年には33%に引き下げられたが、現在は40%。これを今の管内閣は5%引き下げようとしている。ところが、今日になって財界が引き下げに反対を表明するにいたった。理由は今の政権が引き下げと引き換えに、今までの大企業優遇の数々の租税特別措置や研究開発減税に切り込む姿勢を見せているからだ。この特別措置がいかにうまみのあるものかということが知れる。
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