24日(水)曇り。昨日2時半、見るとはなしにつけていたテレビ画面に緊急テロップ。北朝鮮が韓国領土を砲撃したという仰天ニュースが飛び込んできた。韓国側からの一方的な情報なので、鵜呑みにするのは危険だと思ったが、昨夕の段階で北も認めた。
過去幾多の戦争報道で私たちは何度も苦い思いを味わった。日中戦争開始を告げる盧溝橋事件の際も一発目は中国側から始まったことになっている。これは未だに真相がわからない。50年6月に始まった朝鮮戦争は当時日本の新聞は韓国からの発砲だった。
これは今では北側からの挑発であったことが明らかになっている。ベトナム戦争の本格化も当時トンキン湾にいた米海軍を北ベトナムが砲撃したと米軍が発表し、日本のマスコミはほぼそれを鵜呑みにして伝え、私達はそれを信じたが嘘だったことが後日暴露された。
昨日の砲撃は北朝鮮が自分たちが主張している領海内で挑発(黄海での米韓軍事訓練)したので、「自衛のために砲撃」という理由にもならない屁理屈だが、「自衛権の行使」というのは旧日本軍や各国が自己弁護をする際の常套句だから注意を要する。
北側の意図についてさまざまなことが伝えられているが、私が関心を持って聞いたのは、関西大学の李英和教授(氏は韓国から北朝鮮に留学経験を持ち、帰国後反北政府の運動に関わっている。たまたま今私は落合信彦著「北朝鮮の正体」を読んでいるところ)。
その李教授が北での協力者から得たという「軍内部で金正恩氏の3代にわたる世襲に対する批判が極限に達している」という情報に注目している。ことを起こすことによって、正恩への求心力を高める意図と推測されるが、十分あり得る話だと思う。
軍事アナリストは揃って、全面戦争になれば北の勝ち目はないと。それ以上に怖いのは、日本国内で不安を煽り、今にでも北が日本に向かってミサイルでも発射する可能性を言いたてる輩だ。どんな形であれ、北の体制崩壊を望むのは私だけではあるまい。
中国抜きで北が全面戦争に突っ込むことはあり得ないが、実は金正日が昔から中国嫌いであることは意外に知られていない。今回の砲撃も米韓への揺さぶりの意図はもちろんだが、私には中国へのメッセージを強く感じる。中国が北を見放せば、全ては終わるのだが。
私はインチョンやソウルにも38度線の非武装地帯にも観光したことはあるが、現在の現地の緊張感はいかばかりかと思うと胸が痛む。戦争の勝ち負けなどの話ではない。同じ民族同士が戦うことの悲劇である。一日も早い北の崩壊のために何ができるか。
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