24日(水)企業の社会的責任について考えれば考えるほど腹が立つ。日本の政治が国民や消費者の側にたって進められていないこと、そのことに国民は知らないか、知っても諦めるかだ。フリーランスの上杉隆氏は先進国の中で最もデモに出ない国民と皮肉っている。
企業が社会の一員として、環境や雇用、地域経済、消費者保護など社会全体に対する責任を負うというのが先進国の常識になっているのに、日本だけがそうなっていない。内部留保を一部吐き出すだけで賃上げが可能なのに、しないばかりかサービス残業を強いる。
法律通りにサービス残業を完全禁止するだけでも相当な雇用が生まれるのは素人でもわかる。パートや派遣労働者への差別をやめさせることでも雇用は生み出せる。小泉がやったことは逆に規制緩和で大企業の身勝手さを助長しただけだったのである。
環境や消費者保護の問題についても後日取り上げたいが、今家電製品の不法投棄が激増しているという。欧米や台湾でも起こり得ない。家電ゴミをはじめ製造物の廃棄物の回収は製造企業に義務づけているからだ。日本は政治が業界に対してそれを求める力がない。
企業献金を失いたくないからだ。日本の政府は税をとり易いところからとる。資産家や金持ちからは取らず、逆に優遇している。典型的なのは株式配当への課税額である。例えば一億円の配当への課税額は日本が1000万円に対し、アメリカ2308万円、イギリス2278万円、ドイツ1859万円、フランス2799万円である。日本はフランスの35%。(07年)
私には理解不能なのだが、所得税は収入が多い程率が高くなる累進課税制度なのに、法人税に適用されないのはなぜか。例えば個人事業者の課税所得が5000万円あれば、所得税と住民税で税額は2250万円になる。ところが10億円以上も株を持っている資産家の配当が5000万円あったとすると、税額は500万円で済んでしまう。
過去最高の利益をあげている銀行や大企業が法人税を1円も払っていないという現実がある。大手銀行6大グループ(三菱UFJ、みずほ、三井住友、りそな、住友信託、三井トラスト)の06年3月期の最終利益は、合計で3兆1212億円。07年3月でも2兆9600億円。にもかかわらず6大グループの法人税は0。マスコミは何も騒がない。
なぜこうなるのか。繰越欠損金制度という大企業に有利な税務上のルールがあるからだ。企業はその年に赤字が出た場合、その赤字分を翌年以降の利益から控除できるという制度だ。例えば500億円の赤字が出た翌月に300億円の黒字になれば、前期の赤字と相殺して課税所得が発生していないことになり、法人税は0になるという仕組みである。
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