12日(日)雨。原発ゴミの処理の前に、放射能のゴミとは何か。先日の学習会で得た資料をもとに説明すると。大きくはウラン燃料製造工程で出る放射能のゴミと発電段階で出るゴミに二分される。製造工程で出るのはウラン残土、ウラン鉱滓、劣化ウランの3つ。
3つ目の劣化ウランは聞いたことがある。これは天然ウランを核分裂しやすくするために濃縮する(北朝鮮がやった)際に出るゴミ。このゴミは「劣化ウラン弾」として武器になり、米軍が湾岸戦争やイラク戦争で大量にばら撒き、問題になったことは記憶に新しい。
日本のウラン濃縮工場(青森県六ケ所村)で出る劣化ウランは貯蔵されている。次に発電段階で出るごみについて。核分裂のために原子炉が入っている原子炉建屋(たてや)内の空気、水、器具、機械類、作業着等(掃除用の雑巾や手袋、長靴)全てが放射能ゴミ。
これらのゴミのうち、空気、水蒸気、ガス等は基本的にはフィルターで放射能を減衰して空に排出している。漏れ出た水、洗濯水などは同じく減衰して海に流している。排水溝付近の海水温は高くなっている。機器、部品、工具、作業着、ペーパータオルはどうか。
焼却や圧縮をして容積を減らしてドラム缶(黄色で中越沖地震の際、横倒しになっているドラム缶の映像が広く知られた)に詰め、発電所内に一時保管後、六ヶ所村の「低レベル放射性廃棄物埋設センター」に運ばれ、埋設、300年間管理されることになっている。
これらはいわば周辺から出る放射能ゴミで、もっと厄介なのは原子炉の入れられたウラン燃料の行く末である。燃料の寿命はおよそ3~4年という。使用済みの燃料は燃料プールに入れられ、熱が下がり放射能の減衰を待って、「六ヶ所再処理工場」へ船で輸送される。
ここで時々登場する六ヶ所とは青森県六ケ所村(下北半島南部)に政府が周囲の反対を押し切って原子力ゴミを地下埋設と使用済み燃料の再処理の方針をたて、日本原燃という会社をつくって建設したものである。先のドラム缶の埋設は92年から開始された。
09年現在埋設センターは2号まで出来ているが、1号に20万本しか埋設できない。09年3月現在1号には14万795本、2号には67312本が埋設された。1号センターは12年には満杯になるという。今後も原発をつくり続けるというのだから先は見えている。
日本のように再処理をしないアメリカ、スウエーデン、フィンランドは新設をしないことを決めているので(米は怪しいが)低レベル放射性廃棄物はそのまま長期保管になる。再処理をする過程で生み出される高レベル廃棄物こそ危険で厄介なのだ。
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