14日(火)曇り時々雨。昨夜87年の大韓航空機爆破事件を実行犯の金賢姫の証言に基づいてドラマ仕立てで再現した番組をみた。途中何回も金賢姫のインタビュー場面もあった。新たな事実は特になかったが、改めて金正日の罪の深さを思い、倒さねばと思った。
18歳の少女が国家によって工作員に仕立て上げられていく過程を戦前の日本の状況と重ねながら見た。親愛なる首領様も現人神の天皇も一人の国民から見れば、逆らうことの許されない絶対者だった。金賢姫は責任を免れないが、もっと許されない存在が彼らだ。
金賢姫という工作員は日本軍の特攻隊やサイパンや硫黄島でバンザイ突撃を強いられた兵士と本質において同じだ。結果責任を末端の兵士や工作員にとらせて終わりには到底できない。命令した本人はのうのうと生きのび、安悦をむさぼり、未だに国民に塗炭の苦しみを与え続けている。許してはならないのだ。
彼女はインタビューの最後に「裁判の過程でどれほど殺してほしいと思ったか。でも今は生涯遺族に謝罪を続け、日本の拉致被害者救出のためにできることをやるのが自分の務めだと思っている」と。国家が「愛国心」の名で個人や家族の幸せを奪い、加害者に仕立て上げることがあるのだということに警鐘を鳴らし続けて欲しいと思う。
彼女は逮捕されなければ、金正日に「英雄」の称号を与えられ、家族ともども何不自由ない生活を保障されたであろう。こうなった今、家族や兄弟はおろか、親戚も全て少なくても収容所送りか、場合によっては処刑されたであろうことは他の例から推測できる。
北には日本の江戸時代の5人組制度があるそうだ。その目的も方法もそっくりである。つまりは密告と連帯責任を負わせるということである。人間の弱さを極限まで活用した国家権力による犯罪にも似た制度である。中国も文革時代はそうだった。
ノーベル平和賞をめぐる中国の対応も全くおかしい。劉暁波氏の家族や友人の出国も認めない。劉氏が批判した「共産党一党独裁」の体制に国家として自信がないことを示すものだ。中国ではかなり以前から孫文や魯迅の再評価が行われていることが知られている。
劉氏の08憲章の内容は私は読んでいないけれど、魯迅が生前主張していたこととそっくりだと指摘されている。孫文も晩年は共産主義に傾斜していたと言われているが、一党独裁には批判的だった。中国が今の改革開放政策を続ける限り、早晩共産党独裁は放棄せざるを得なくなるのは明らかだ。今年中に日本を抜いて世界第二位の経済大国になろうという国がCNNやNHKのニュースを遮断するような国では情けないではないか。
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