3日(木)アメリカから日本の検察を見てみよう。「アメリカ人の見た日本の検察制度」著者「デヴィッド・T・ジョンソン」日本に3年滞在して日本の検察制度を調べた内容である。氏は「日本の検察の能力はアメリカに比べ実に立派」との前提での紹介だが・・・。
「アメリカの検察官は『とてつもない裁量権』を持っているが、日本の検察官の権力はさらにそれ以上に強大なものがある。実際、日本の検察ほど強大な権力を保有する国家機関は、日本の内外を問わず、他に見つけることは困難である」
起訴権の独占によって裁判が始まる前に、実質的にすでに裁判が終わると言う最大の問題がある。99%以上の有罪判決を維持しようとするので、検察官は科学的な証拠よりも自白を得ることにこだわる。自白の強制は冤罪の温床である。
諸外国に比べ長時間の拘束が認められていることも自白に追い込む重大な要因である。自白をとるために、検察に迎合する人には優しいが、自白をしない人間には強引な捜査が行われる。自白が得られなければ起訴しない。検察官が裁判官になっている。
村木さんのドラマを見ていると、まさにそのままという感じだ。調書をはじめすべての証拠を検察が独占して外部には公開しない。弁護士からの開示請求も検察官の了承があるときだけ、わずかに認められるだけ。取り調べで認め、公判で否認することが時々起る。
日本の検察官は、被疑者の更生に尽力すると言う。これも自白を得ることが前提である。黙秘しているものにはより一層の取り調べが待っている。自白偏重と更生を図る考え方は江戸時代以来のもので、戦中の共産主義者の投獄、拷問、転向させる考えに繋がる。
こうした状況下にある日本の検察に対し、先に紹介した国際人権委員会は「取り調べの長さ、場所、及び方法、証拠としての自白への過度の依存、そして被告側に対する証拠開示の不十分等について議定書に違反しているとして度々激しい非難を浴びているのである。
ついでに「司法制度改革審議会議事録」からアメリカの司法制度の部分を引用する。アメリカ裁判官の選任は連邦は大統領の任命(議会の同意)、州は議会による選挙、首長による任命、裁判官の公選の3通り。日本のように裁判官の昇任昇給制度はない。
検察官は政府に属する弁護士という扱い。検察官が民事事件を担当することもある。捜査と公判に関しては基本的には公判に重点が置かれている。キャリア性が希薄だと言うことが、先のジョンソン氏が日本の検察がキャリアそのもので優秀だと見えるのだろう。
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