7日8(月)晴れ。大相撲春場所はついに中止になった。マスコミ報道によって中止の方向にどんどん流されているように見えるのが嫌だ。倫理観の欠如が相撲界にも及んでいるのは疑いないが、真剣にやっているお相撲さんや中止反対の人々は何故声を上げないのか。
ドイツの行政訴訟についても見てみる。少し古いが、97年度に受理された行政訴訟件数は54万8944件で世界一。これはファックスや葉書の殴り書きで申し立てても訴訟が成立し、文字の書けない人でも裁判所に出向いて口頭で申し立てれば書類を無料で受け付ける。
これに比べ、日本は同年度の件数が1711件、勝訴率もドイツの3分の1弱。これは日本の行政の優秀さを意味しない。日本では明治以来の無謬主義、検察=正義という神話が生きており、訴訟費用の高さや手続きの厄介さによって市民が利用しずらいだけ。
この費用についても、ドイツでは十分な資力を持たない人も裁判手続きを利用できるようにするために、訴訟費用援助法や法的助言援助法等が整備されている。これによって弁護士費用を含む訴訟費用を含む訴訟費用の援助、法律相談に対する援助などが行われる。
独では職権探知主義、職権証拠調べが採用されており、訴訟が原告市民から求められれば、裁判所は行政からすべての証拠資料を提出させ、裁判官に十分調査することを求めている。行政の証拠隠しを防ぐ、情報量の差を考慮し、原告不利とならないようにするためである。
民事と違い弁護士も必要ない。日本では行政処分の違法根拠から証拠提出に至るまで、すべてが原告に求められており、多大な原告の努力と専門分野の弁護士に頼ることなくしては訴訟の維持すら困難であり、結局泣き寝入りさせられることが多いのはこのためだ。
さらにドイツでは正当な理由がある場合、仮処分申請を行えば行政処分が執行停止されるのに対して、日本では執行停止されることはほとんどない。例えば工事前であれば「まだ被害が発生していない」と退けられ、完成後は取り消せば「公共の福祉」を理由に棄却する。
日本では圧倒的に行政が優位に立っており、住民や国民が主人公とはとても言えない状況にある。前号で見たように、何故そうなるかと言えば、裁判官が独立しておらず、行政に支配されているからである。99年に中村敦夫議員が国会で明らかにした資料によれば。
99年10月1日現在出向裁判官は143名にのぼり、出向先は101名が法務省だった。むろん発令したのは最高裁事務総局である。ドイツでは裁判官法で裁判官の身分は完全独立が保障されており、転勤も給料も行政によることはなく、判決に全く影響しない。
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