30日(水)人気者の池上彰氏の特番を観た。歴史問題等には歯切れのいい解説をする氏だが、原発には「なぜ原発が必要か」として、従来のクリーン、安価、安全説を紹介するだけ。がっかりだった。ただ最後に今回の地震で疑問が広がる可能性に触れただけ。
氏ほどの人物が原発のゴミ(放射性廃棄物)の現状や将来の見通しのなさを知らないはずはない。それを知りながら、エネルギー政策の転換の必要性に言及しないのは、何か背後に大きな力が働いているのではないかと疑ってしまう。マスコミ全体の論調も同じだ。
08年1月現在、世界で稼働中の原発は531基を数える。日本は55基で米仏に次いで世界第3位。さらに14基の増設計画がある。米仏との決定的違いは、地震津波の可能性がまるで違うことである。にもかかわらず、安全対策に日本の危機感が一番薄い。
使用済み燃料の再処理とは「原子炉から取り出し、化学処理を行ってウランとプルトニウムを分離し、ウランは再び転換―濃縮―再転換をしたりして改めて燃料を作り直す」ことで、当然核保有国である米英仏露などはこの再処理でも事故でも先進国である。
他国の事故例を紹介するつもりだったが、福島原発をめぐって多少明るいニュースが入ってきたので、そっちを取り上げる。昨日の東電会長の記者会見で1~4号機の廃炉を言明した。当然だと思ったが5,6号機は修理して使い続ける気でいたらしい。
その後記者会見した枝野官房長官は5,6号機の廃炉に言及。当り前の話だ。東電会見で会長は安易にチュルノブイリのように石棺で覆うなどとふざけたことを言っている。石棺で覆っただけでは放射能を遮断できないことは、現在でも半径30キロ内は立ち入り禁止だ。
完全に解体撤去しなければ県民が納得しない。莫大な時間と費用が必要になる。89年に廃炉になって解体が始まった東海原発は福島原発よりはるかに小さいものだが、890億円の費用がかかり、完了予定は21年、あと11年もかかる。廃棄物処理費は入っていない。
福島の場合はまだ冷温冷却にも成功していない。仮に成功しても、燃料棒が破損している恐れがある2,3号機は原子炉の蓋を開けられるようになるまで10年はかかるだろう。6基全体の解体には50年を要するという専門家もいる。原発が厄介な代物だという証拠だ。
経産相はようやく全原発の安全点検を指示し、管首相は保安院の経産省からの分離独立の検討を言明した。保安院の職員は原発の専門家ではなく、経産省の役人にすぎない。こうした大事故にならなければ、言い出せない政治の遅れがある。国際条約にも反している。
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